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2025.03.13

スポニチアネックス

【金鯱賞】デシエルト逃走態勢!坂路しまい重点で軽快 希代の逃げ馬サイレンススズカ再現だ!

 中京開幕週の日曜メイン「第61回金鯱賞」の追い切りが12日、東西トレセンで行われた。昨秋に芝2000メートルに切り替え、アンドロメダS、中日新聞杯と連勝中のデシエルトは栗東坂路4F54秒3~1F12秒8としまい重点でフィニッシュ。気合乗りの良さを考慮しつつ、絶妙なサジ加減で負荷をかけた。レース当日に初コンタクトを取る名手・武豊がどうリードするか。脂が乗った良血6歳馬が注目の今季初戦を迎える。

坂路で追い切るデシエルト(撮影・亀井直樹)

 今年の金鯱賞が例年より“10倍も楽しめる”理由はデシエルトと武豊の人馬が戦法面と話題性で群を抜く注目度だからだ。

 坂路の追い切りは「既に戦闘モードなので、なだめる感じ」と安田師が的確な分析をした通りで、最初の1Fはまるでロデオ状態。戦闘モードだからこその激しさを厩舎スタッフがなだめつつの登坂で4F54秒3~1F12秒8を計時。

 ダートに起用していた時は「爆発力に陰りが見えてきたので」と判断、その後の矛先を芝2000メートルへ向けるや目下、覚醒したかのように2連勝。特に前走・中日新聞杯は「パニックになるギリギリの精神状態」だったと明かしているので、普通ならこの中間は穏やかさを求めそうなものだが、若きダービートレーナーの思考はひと味違う。4日前の9日は坂路4F51秒4の好タイムで刺激を与えている。すなわち爆発力を生む凶暴さにスレスレの状態はある意味、求めてきたものだからデシエルトには悪いものでないと言外に伝えている。

 「強過ぎる前進気勢があって逃げられるシチュエーションを考えてレース選択してきた。ジョッキーには“逃げてください”とリクエストはしませんが、この馬のリズムとなると自然に逃げる形になると思う」と脳裏に描いた。

 指揮官から新しいパートナーに指名されたのは希代の逃げ馬サイレンススズカで伝説の金鯱賞(98年)を演じている武豊だ。「皆さんが(新聞)記事的に飛び付く話ですね」とニヤリ。デシエルトのイメージを問われると「難しい印象とポテンシャルの高さ。でも、先入観を持たずに乗りますよ。ここ2戦はスローじゃなく、スイスイと逃げ切っていますよね」と楽しみを膨らませた。自身の誕生日は金鯱賞前日の15日。56歳になって最初の重賞の相棒がかなりの個性派。今年の金鯱賞は絶対に見逃せない。

 ▽98年金鯱賞VTR(5月30日、中京芝2000メートル、良馬場)4歳になったサイレンススズカは年明け初戦のバレンタインSから中山記念、小倉大賞典と3連勝中。単勝2・0倍の1番人気に支持された。好スタートから一気にハナを奪うとスピードの違いで、すぐに5馬身差。3角手前ではその差が8~10馬身まで開いてしまう。直線は中継するカメラが大きく引く映像。間違いない圧勝劇をファンは大きな拍手で迎えた。1分57秒8のコースレコードで駆け抜け、2着ミッドナイトベットに1秒8差の大差勝ち。続く宝塚記念でG1初制覇を飾った。

 《武豊98年以来Vへ名牝の血後押し》武豊にとってデシエルトは縁が深い血統だ。曽祖母エアグルーヴの主戦を務め、96年オークス、97年天皇賞・秋など重賞6勝。祖母アドマイヤグルーヴでも03&04年エリザベス女王杯連覇など重賞5勝、大叔父にあたるフォゲッタブル(アドマイヤグルーヴの半弟)で10年ダイヤモンドSを制した。武豊が勝てば91年ムービースター、93年ウィッシュドリーム、98年サイレンススズカ以来、27年ぶり4度目の金鯱賞制覇。初コンビで重賞Vへ、名牝の血が後押しになる。