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2024.08.30

スポニチアネックス

観光大使ホッコータルマエ 年代、国境超え…競馬人気に一役 種付け料増額の人気種牡馬15歳

 ◇田井秀一の優駿を訪ねて(4)

イーストスタッドで繋養されているホッコータルマエ(撮影・田井秀一)

 東京本社の“馬体派記者”田井秀一(31)が、かつてターフを沸かせた引退名馬の近況を取材する夏の連載企画「田井秀一の優駿を訪ねて」。最終回は「とまこまい観光大使」ホッコータルマエ(牡15、父キングカメハメハ)。種牡馬としてけい養されているイーストスタッド(北海道浦河町)での生活に迫った。

 海から程近く、すぐ隣を河川が流れる清涼な立地にあるイーストスタッド。東京ドーム5個分以上の広大な敷地に計23頭がけい養される種牡馬牧場で、15歳になったホッコータルマエが暮らしている。初年度産駒から安定した成績を残し、種付け料が1年目の80万円から300万円(24年の種付けは126頭)まで増額した人気種牡馬だ。

 今年はJRA、NARを合わせたダート戦で勝利を挙げた競走馬頭数がトップ(29日時点)。同スタッドを運営するジャパンレースホースエージェンシーの秋武佳孝さんは「アベレージが高く産駒の成績が安定しています。子出しがいいのでセールでも見栄えがしますし売却率も高い。そこが生産者、馬主、調教師の方々に評価されているのでは」と分析する。

 日本競馬史上初のG1級(G1+Jpn1)10勝を挙げた現役時代は主戦の幸騎手が「欠点がない」と評すほどの優等生。現在も「普段はあまり無駄なことをせず、手がかかりません」。ただし、種牡馬らしく我の強さを見せるシーンもあり、テリトリーに敏感。「警戒心が強く、種牡馬展示会など人が集まる場所は苦手でイレ込んだりします」。取材時の写真撮影でも同時に取材したマジェスティックウォリアーが不動明王ばりに泰然自若だったのと対照的にタルマエは元気いっぱい。交配シーズンには意外にも「種馬らしいというか、結構、迫力のある種付けをするタイプ」とのこと。

 イーストスタッドと優駿スタリオンステーションを2年ごとに移動する国内シャトル種牡馬としてけい養されており、同スタッドでは見学期間であれば一般見学が可能。「好奇心旺盛に見学者に近づいて行ったりするのですが、それも本人からすれば自分のテリトリーに入ってくるかどうか警戒しているのかもしれません」。近年は“ウマ娘”が拍車をかけ、来場者数が増加傾向。「タルマエの放牧地の前にはいつも人がいて、若い方や海外の方、特に韓国の方も多いですね」と年代や国境を超えて人気が拡大している。現役5年間で3度のドバイ遠征を含む39戦を走り抜いたタフネスな「とまこまい観光大使」は多くの子孫を残す使命を全うする一方で、今もなお競馬人気向上に一役買っていた。 =終わり=