2024.08.28

スポニチアネックス

オジュウ初子は父と違いおとなしい性格

 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」は栗東取材班の田村達人(31)が担当。この春、北海道日高町の坂東牧場で誕生したJ・G19勝オジュウチョウサンの初子「デュナミスの2024」(牝)に会いに行った。

デュナミスとオジュウチョウサンの初子「デュナミスの2024」

 この春、坂東牧場の公式YouTubeチャンネルで「オジュウチョウサン子供生まれる」がアップされた。お産直後の母子の様子を撮った1分34秒の動画は約4万5000回の再生回数。お口をもぐもぐさせて母に寄り添っている子馬は同牧場の生産馬でJ・G19勝を挙げた障害の絶対王者オジュウチョウサンの初子。ファンからは多くの祝福コメントが寄せられた。繁殖厩舎長の成田博行さんは「お産をスムーズに終えられたことが何より良かったです。おとなしく、人懐っこくて扱いやすい。父のイメージとは違いました」と特徴を伝える。

 現役時代は激しい気性で有名だった父とは逆の性格。それでも大きな額の流星はそっくり。出生時(3月18日の午後7時)の馬体重は65キロ。「かなり大きい子でビックリしたのが最初の印象でした。今年生まれた坂東牧場の子らは大体50キロ台。同世代では1、2位を争う体の大きさです」と恵まれた馬格を持つ。

 夏シーズンは夜間放牧で運動量を増やしている。普段はお利口だが放牧地では他の母子に交じって、ピョンピョン跳び回る。「子供は元気いっぱいですが、母はおっとりしていて前に出るタイプではないので子供が他の子と遊んでいる時はいつも少し離れたところで見守っています」。現在の馬体重は約230キロ。凜(りん)とした立ち姿を見て分かるように、お産から約5カ月で大きく成長した。

 母デュナミスはJRA1勝で引退したが、83年オークス馬の4代母ダイナカールにつながる名牝一族。祖母チェルビム(父サンデーサイレンス)の全姉エガオヲミセテは99年マイラーズCを含む重賞2勝、全兄オレハマッテルゼは06年高松宮記念を制した。将来性は十分ある。

 順調なら秋ごろに離乳。来年の夏以降から競走馬としての本格的な育成が始まる。成田さんは「これから成長していく段階なので、先々が楽しみ。いいものは持っていると思うし、無事に育ってくれれば」と期待を寄せた。オジュウチョウサンの初年度産駒だから当然、ファンからは大きな注目が集まる。今からデビューが待ち遠しい。

 ◇田村 達人(たむら・たつと)1992年(平4)11月12日生まれ、大阪市城東区出身の31歳。高校卒業後に北海道新ひだか町ケイアイファームへ。育成&生産に携わる。予想スタイルは取材の感触。今回の取材後は坂東牧場近くの温泉「とねっこの湯」でリフレッシュした。