2024.08.14

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トウカイテイオーの血 後世に残したい!

 日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く「書く書くしかじか」。今週は大阪本社の寺下厚司(40)が担当する。19年にスタートした「トウカイテイオー後継種牡馬プロジェクト」。貴重なテイオーの産駒として種牡馬になったクワイトファインの産駒が今年デビュー。プロジェクトの発起人となった原田治正さん(55)に現在の活動を聞いた。

【写真・画像】冬デビューを目指すクワイトファイン産駒のクワイエットエニフ(原田さん提供)

 19年に「トウカイテイオー後継種牡馬プロジェクト」がスタート。シンボリルドルフを父に持ち、昭和、平成の日本競馬を支えた偉大な血統は失われる危機にひんしていた。トウカイテイオー産駒だったクワイトファインの元オーナー・原田治正さんが発起人となり、後継種牡馬として貴重な血統を後世に継いでいく活動が続いている。

 クワイトファインは19年、9歳で現役を引退(地方競馬での成績は142戦6勝)。その年、種付けから産駒の誕生に発生する費用の一部をクラウドファンディング(CF)で募集。2カ月間で目標を上回る788万3000円を集めた。

 20年から種牡馬入りしたクワイトファイン。夢の詰まった産駒が今年、ついにデビューを迎えた。第1号となったテイオーノユメは北海道・門別のレースに出走し12着。380キロ台の小柄な牝馬で苦戦を強いられ、2戦目も9着に敗れた。そして、原田さんの名義馬である産駒のクワイエットエニフが先月16日、南関東・大井の真島大輔厩舎に入厩。原田さんは「真島先生は元トップジョッキーですし、馬に対して熱い方で“馬に最大限のことをしたい”とおっしゃってくれています」。馬体重は牧場を出る時点で462キロまで成長。「馬体の成長を見ながらゆっくりやりますとのことで、冬ぐらいにデビューできれば。南関東で少しでも活躍してくれて、来年の種付けに向けても興味を持ってくれる人が増えてくれれば」と期待を寄せる。

 クワイトファインの産駒は現2歳が2頭、1歳が4頭、当歳1頭と順調に増え続けている。その中にはJRAでのデビューを目指す産駒もいるという。「今のところ途切れることなく産駒は生まれていますし、一ファンの立場としても中央でデビューできたら凄いなと思います」と語った。

 さらにクワイエットエニフの1歳下の全妹(バトルクウの2023)が、19日から新ひだか町の北海道市場で行われるサマーセールの2日目(20日)に上場される。「トップバッターで登場すると聞いています。預託料などの活動資金になりますし、もっと産駒を増やせれば。ここまで多くの人々に支えていただいている以上、われわれも本気で戦っています」と原田さん。失われる危機にひんしていたテイオーの血は確実につながれている。これからもプロジェクトに注目し、さらなる発展を願いたい。

 ◇原田 治正(はらだ・はるまさ)1969年(昭44)6月11日生まれ、東京都出身の55歳。ゲーム「ダービースタリオン」で血統に興味を持つ。サラリーマンでも地方の馬主になれると知り、00年に地方競馬の馬主登録。「91年(のダービー)世代ではレオダーバン推し。当時はめちゃくちゃトウカイテイオーのファンでもなかったですし、この血統が先細って絶滅寸前ということを後で知り、それでさらに興味を持ちました」と話す。