2025.03.31
スポニチアネックス
【高松宮記念】サトノレーヴ新スプリント王!モレイラ強風味方にG1初V導いた
春のスプリント王者を決める「第55回高松宮記念」が30日、中京競馬場で行われ、短期免許で来日中のジョアン・モレイラ(41)騎乗の2番人気サトノレーヴがG1初制覇を果たした。父ロードカナロアは21年ダノンスマッシュ、23年ファストフォースに続いて2年ぶりの父子制覇となった。管理する堀宣行師(57)は10、11年の当レースをキンシャサノキセキで連覇しており、安田隆行元調教師に並ぶ歴代最多の3勝目。

スタンド前に掲揚される国旗が激しくなびくほどの強風吹き荒れる中の電撃戦。サトノレーヴは残り250メートルまでライバルの真後ろを離れなかった。その背中にはモレイラ。世界を飛び回るマジックマンは「風が強かったので悪影響がないよう前に壁をつくった」とトリックを明かす。その騎乗ぶりから香港では雷神の異名で呼ばれる41歳はこの日、風をも味方に変えた。
道中は隊列のど真ん中。「想定より一列後ろ」と振り返るが、前半3F33秒8のハイラップで功を奏した。手応え十分に直線に向いたが、仕掛けない。「向かい風だった分、先行勢には負担がかかっている、相手は後ろだと考えた」。200メートルで満を持して先頭へ。名手の勝負勘通り、背後からナムラクレアが急襲するが、余力は十分。差は縮まらない。「中山で騎乗(24年4月春雷S1着)した時に比べて全体的に成長している。特にゴール手前での力強さ。最後まで伸びることができるようになった」と進化する相棒を称えた。
お立ち台では終始笑顔のモレイラだが、9Rでは騎乗馬がゲートで潜るアクシデントに見舞われた。「激しくゲートにぶつかって左手に少しだけ痛みがあるけど大丈夫」とサムアップ。大阪杯では昨年桜花賞を共に制したステレンボッシュ、桜花賞はエンブロイダリー、皐月賞はミュージアムマイルと有力馬が続々スタンバイ。「日本が大好き。G1がある時期に参加させてもらって感謝したい。もう一つ勝つことができればいいね」と目を輝かせた。
レーヴは新馬戦の終わった3歳4月にデビュー。その後もトモの左右のバランスが崩れたため2度の長期休養を挟んだ遅咲きだ。見守った堀師も「この馬のこと考えて待ってくださった里見オーナーのホースマンシップに感謝している」と感慨深げ。前回国内で走ったスプリンターズSから22キロ減の体重については「大型馬でよく食べる。午前中に20リットル、午後にも20リットルの水を飲む。体重は排泄(はいせつ)のタイミングによる。馬の10キロは50キロの人間で考えれば1キロ。細かく気にする必要はないと考えている」と簡明に解説した。
次走にはチェアマンズスプリントプライズ(4月27日、シャティン)が視野に入る。モレイラは「香港にはカーインライジングという素晴らしい馬がいるが、いい勝負ができる自信がある」と口元を引き締めた。父ロードカナロアが無双した香港で頂点をつかみ、世界にその名を知らしめる日は近い。
◆サトノレーヴ 父ロードカナロア 母チリエージェ(母の父サクラバクシンオー)19年3月22日生まれ 牡6歳 美浦・堀厩舎所属 馬主・里見治氏 生産者・北海道日高町の白井牧場 戦績12戦8勝(重賞3勝目) 総獲得賞金3億9846万300円 馬名の由来は冠名+夢(フランス語)。
《里見治オーナー「夢が広がる」》現地で勝利を見届けた里見治オーナーも喜びひとしお。「直線に向いて、これならいけるんじゃないかと思いました。抜け出した時には確信しました。最後も抜かせなかったし、良かったです」と振り返る。フランス語で夢(レーヴ)と名付けた愛馬の戴冠。「調教の時計が素晴らしかったし、堀先生が自信を持っていたので信じていました。今後はどうなるかまだ分かりませんが、夢が広がります」と期待を膨らませた。