2025.03.14

レッドアトレーヴ勝利

3月9日、中山競馬場の第8R。2勝クラスの芝1600メートル戦が16頭立てで行われた。
稍重の馬場でスタートが切られると、横山和生騎手を背に1番人気に推されたレッドアトレーヴは、11番枠から外を回りながら好位の4〜5番手につけた。
「調子は良かったです」
そう口を開いたのは、美浦の手塚貴久調教師。レッドアトレーヴを管理する指揮官は、さらに続けた。
「デビュー当初はまだ体ができていませんでした。それがここにきて、ようやく出来上がってきた感じです」
とはいえ、この日の馬体重は482キロ。1年以上前、2024年1月のデビュー戦とまったく同じ数字だった。その点を問うと、手塚調教師はこう答えた。
「数字的には変わらなくても、だいぶしっかりしてきたんです」
体がしっかりしてきたことで、以前よりも強い調教をこなせるようになり、それが成績にもつながった。新馬戦から4、3、3、2着と惜敗が続いていたが、未勝利を脱出すると、1勝クラスも2、1着とすぐに突破。そして迎えた今回の2勝クラス昇級初戦。先述の通り、1番人気に支持されていた。
「マイルに絞ったのも良かったと思います。特に中山の1600メートルは合っているようです」
実際、デビューから3戦の惜敗はいずれも1800メートル戦。その後はすべて1600メートル戦を使われていた。
今回も好位から3〜4コーナーでは抑えきれない手応えで先頭に並びかけ、直線へ向いた。このまま突き抜けるかと思われたが、減量騎手を背にした逃げ馬の抵抗にあった。抜けそうで抜けない。2頭の先頭争いがしばらく続いた。
「手応えのわりにズドンと来ないのは、まだ良くなる余地があるからです。将来的にはもっと控えて、ドーンと突き抜けてくるイメージがあります」
指揮官はそう振り返る。
確かに、一気には抜けなかった。それでもゴール前でグイッと前に出ると、最後は3/4馬身差をつけて先頭でフィニッシュ。人気に応えて勝利をつかんだ。
その走りを見た手塚調教師は、全兄で2023年の京王杯スプリングC(GⅡ)を制したレッドモンレーヴを引き合いに出し、こう言った。
「だんだんお兄さんに似てきたのではないでしょうか」
これは、期待の表れと言っていいだろう。次走も、連勝中のここ2戦と同じ中山のマイル戦に出走を予定している。準オープンの舞台で、さらなる飛躍を期待したい。
(撮影・文=平松さとし)