2025.03.05
世界の矢作調教師

現地時間3月1日、ドバイのメイダン競馬場で「スーパーサタデー」が開催された。これはドバイワールドCデーへと続く前哨戦が組まれた重要な1日。いわば、大一番への最終関門ともいえる舞台だった。
バージナハール(GⅢ・ダート1600メートル)に挑んだテーオーサンドニ(牡6歳、栗東・高柳大輔厩舎)は、残念ながら14着に敗戦。実質、本番への道は絶たれた。しかし、一方でマハブアルシマール(GⅢ・ダート1200メートル)に出走したアメリカンステージ(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)は2着に健闘。ドバイゴールデンシャヒーン(GⅠ)への出走が現実味を帯びてきた。
そんな中、歴史的な走りを見せた馬がもう一頭いた。ドバイワールドC(GⅠ)の前哨戦となるアルマクトゥームクラシック(GⅡ)に、韓国ダービー馬グローバルヒットが出走。キム・ヘソン騎手を背に果敢にハナを奪うと、粘りに粘って3着に入線した。前走のアルマクトゥームチャレンジ(GⅠ)では8着に敗れていたが、一度使われたことで状態が上向き、GⅡにクラスが下がったことも追い風となり、見事に巻き返してみせた。
この快挙に、韓国から訪れていた報道陣は歓喜。あるリポーターに話を聞くと「ここまで頑張ってくれるとは感激しました」と満面の笑みで語った。そして、こちらが日本人だと分かると、こんな言葉を続けた。
「コリアCでは、いつも日本馬の強さに圧倒されています。それと、野球です。私は普段、野球のリポーターをしているのですが、日本の野球は本当に強い。僕はオオタニショウヘイ選手の大ファンなんです」
大谷翔平選手の活躍ぶりには、同じ日本人として誇らしい気持ちになる。競馬の話題から離れた一幕ではあったが、その言葉には大いに共感させられた。
さて、話を競馬に戻すと、近年、世界中の競馬場で矢作芳人調教師の存在感が増している。どこへ行ってもリポーターや関係者、ファンに囲まれ、一歩歩くごとにインタビューや写真撮影の輪ができる。
リスグラシュー、ラヴズオンリーユー、パンサラッサ、そして直近ではフォーエバーヤングと、管理馬が次々と世界の舞台で輝きを放ってきた。その功績もあり、今や矢作調教師は「Mr.YAHAGI」として世界中から認識されているのだ。
どの国へ行っても「レジェンド」と称される武豊騎手もそうだが、矢作調教師もまた、世界の競馬界に確かな足跡を刻んでいる。その姿を目の当たりにし、同じ日本人として勝手ながら誇らしい気持ちになるのだった。
(撮影・文=平松さとし)
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