2025.02.21
カタール競馬のドタバタ劇

先週末、カタールで行われたアミールトロフィーウィークエンドは、大混乱の展開となった。
発端は、大量の散水だった。木・金・土の3日間連続開催だったが、初日は全レースがダートだったため問題なく終了。しかし、2日目の第1Rが終わった時点で、多くの騎手から不満の声が噴出した。
O・マーフィー騎手はこう語った。
「路盤が固いのに芝の丈が長く、さらに水を含みすぎていて滑りやすい。これでは安心して騎乗できる状態ではありません」
これを受け、主催者側は急遽、内ラチの移動や芝の刈り込みを実施。2R以降のレースは3時間以上遅れての開催となった。しかし、C・スミヨン騎手をはじめとする多くのジョッキーがボイコット。騎手不足の事態に陥り、本来騎乗予定のなかった団野大成騎手や、現在免許停止中のP・C・ブドー騎手らが急遽招集され、なんとかレースが成立した。
しかし、騒動はそれだけでは終わらなかった。アミールトロフィー当日となるはずだった翌日の第1R、4コーナーで滑って落馬する馬が出ると、場内は騒然。安全を考慮し、2R以降のレースは翌日に延期され、競馬場を変更しての開催となった。
そんな波乱の中で行われたドゥカーンスプリント(GⅢ、カタールGⅢ)に出走したエコロジーク(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)は9頭立ての最下位9着。一方、アミールトロフィー(GⅢ、カタールGⅠ)に挑んだサトノグランツ(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)は、昨年と同じ3着に終わった。エコロジークはレース後に熱中症と診断されたものの、日本馬2頭が落馬などのアクシデントに巻き込まれることなく無事に走り終えたのは、せめてもの救いだった。
混乱の連続となったアミールトロフィーウィークエンド。安全第一で施行していただきたいのは世界共通の認識である。
(撮影・文=平松さとし)
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