2025.02.14

2年連続でカタールに挑む友道調教師

ドバイに加え、サウジアラビアのミーティングも定着しつつある昨今、春の中東遠征は日本競馬界にとって既定路線となった。そんな中、まだ国際GⅠの格は得ていないものの、ヨーロッパの実力馬も参戦する注目のレースが今週末にカタールで行われる。芝2400メートルのアミールトロフィー(GⅢ、カタールGⅠ)だ。
今年の総賞金は250万ドル(約3億7000万円)、1着賞金は142万5000ドル。GⅢとはいえ、その額は世界的に見ても高額だ。そして、このレースに2年連続で管理馬を送り込むのが、栗東の名門・友道康夫調教師である。
「もともとは犬や猫の獣医になろうと思っていました」
そう語る友道師が、馬と関わるようになったきっかけは 大学時代の馬術部 だった。
勧誘を受けて入部し、馬に乗るうちに「馬の獣医もいいかもしれない」と考えるようになった。さらに、阪神競馬場で発走前の馬体チェックを補佐するアルバイトを経験したことで、「競馬の世界で働くのが面白そうだ」と思うようになったという。そこから競馬界に足を踏み入れ、今では 日本ダービー(GⅠ)3勝を誇るトップトレーナーの地位を築き上げた。
2016年にはマカヒキでダービーを初制覇。その後、18年ワグネリアン、22年ドウデュースと、ホースマンの夢である日本ダービーを3度も手にしている。
そんな友道師が昨年に続きカタールへ送り込むのが、里見治オーナーのサトノグランツだ。
「里見オーナーがうちに馬を預けてくださるようになってから、この馬は 2世代目にあたります。それが3歳でいきなりGⅡを2勝(京都新聞杯、神戸新聞杯)。さらに2年連続で海外遠征にも挑戦することになりました」
昨年のアミールトロフィーでは3着。勝ち馬レベルスロマンス、2着ゼッフィーロには及ばなかったが、今年も再び中東へ向かう。その理由を友道師はこう語る。
「時期的に日本に適したレースがないんです。距離が2400メートルで、 時計の速い馬場を考慮すると、カタールの方がサトノグランツには合っている。だから今年も遠征することにしました」
サトノグランツは長距離輸送を苦にしない。これは昨年の遠征で証明済み だ。ダービー3勝という偉業を達成した友道師の手腕は、国やレースの枠にとらわれない柔軟な発想と挑戦 に支えられている。

アミールトロフィーは 現地時間2月15日(日本時間22時15分発走予定)。日本馬の活躍が期待される 土曜夜の中東競馬に注目したい。
(撮影・文=平松さとし)

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