2025.01.03

レッドガランの中山金杯

今週末、中山競馬場では中山金杯(GⅢ)が行われる。年の初めの重賞としてすっかり定着しているこのハンデ戦を、3年前の2022年に制したのが東京サラブレッドクラブのレッドガランだ。
 当時弱冠二十歳の斉藤新騎手を背に、17頭立ての4番人気に推された同馬は、8番枠から好スタートを決める。そして、すんなりと好位を取ると道中は促しながら追走。向こう正面で後方から先団まで動く馬がいるなど、やや出入りの激しい競馬になったが、慌てずそのまま好位をキープすると、4コーナーでは無理なく上手に外へ持ち出す。そして、最後の直線で追われると1頭だけ他とは違う脚を披露。アッという間に2馬身半抜け出すと、まさに名前のガランのごとく優雅に、2分00秒1の時計でゴールを駆け抜けた。7歳馬とも、ハンデ戦とも思えないほどの楽勝劇を演じたレッドガランは、これが4度目の重賞挑戦で初めての戴冠となった。
 20年にラブカンプーで制したCBC賞(GⅢ)以来、2度目のグレードレース優勝となった斉藤騎手にとって、これはこの年の初めての勝利。レース後には次のように語った。
 「調教からずっと乗せていただいている馬なので、最近の中では最も調子が良いのは分かっていました。掛かる心配はないと思っていたので強気に好位を取りに行きましたが、やはりしっかりと折り合ってくれました。大きな馬(この日は520キロ)なので本質的には1ターンの方が良さそうですが、距離の2000メートルはマイル戦よりもむしろ良いかもしれません」
 ここでひと呼吸入れた後、更に続けた。
 「安田先生には苦しい時にいつも助けていただいたので、定年前に少し恩返しが出来て良かったです」
 「安田先生」と呼ばれたのは師匠で、同馬と、そして同馬の父のロードカナロアも管理していた安田隆行調教師(当時)。昨年、年齢による定年を迎え引退した同調教師は、13年に香港スプリント(GⅠ)を連覇して年度代表馬に選定されたロードカナロア等を育てた伯楽。彼は弟子のこの言葉を受けて、言った。
 「今日はジョッキーが上手く乗ってくれました。厩舎としては今年最初のレース(中京の第1レース)を勝てて、最初の重賞も勝てたので、好スタートを切る事が出来、嬉しい限りです」
 ちなみにレッドガランは本来、同じ日の中京競馬場で行われたマイルのハンデ重賞・京都金杯(GⅢ)への出走を予定していたが、賞金不足で出走出来ず。泣く泣く中山金杯へ回った経緯があった。“禍福は糾える縄の如し”を体現する勝利だったわけだ。
(撮影・文=平松さとし)