2024.12.27
ルメール騎手
2024年のJRAの競馬も今週末、ホープフルS(GⅠ)の行われる1日を残すのみとなった。
先週12月22日の競馬を終えた段階でリーディングトレーナー争いは大混戦。トップの矢作芳人調教師が54勝で、2位から4位の杉山晴紀調教師、須貝尚介調教師、友道康夫調教師は2着の回数で差がついているものの、いずれもトップと1勝差の53勝。最終日の結果次第で、この4人全員にリーディング首位の可能性が残っている。
一方、ジョッキーに関してはクリストフ・ルメール騎手が2位に35勝もの差をつける175勝。重賞もチェルヴィニアによるオークス(GⅠ)と秋華賞(GⅠ)、そしてアーバンシックの菊花賞(GⅠ)の3つのGⅠを含む計12勝。独せん場で既に2年連続8度目のリーディングジョッキーの座を掌中に収めている。
今週のホープフルS(GⅠ)では3冠牝馬アパパネの仔アマキヒ(牡2歳、美浦・国枝栄厩舎)に騎乗する同騎手だが、来年の2月にはインドで乗る事が発表された。
2月2日に行われるインドダービーに参戦するわけだが、実はこの依頼が来るのは今回が初めてではない。ルメール騎手は言う。
「毎年のように依頼されていたのですが、結構直前に言われる事が多く、断らざるをえませんでした。でも、来年に関しては早い段階で話が来たので、受ける事にしました」
インドの調教師から毎年のように騎乗依頼が来たのを不思議に思う人もいるだろう。しかし、これには当然、理由があった。再びルメール騎手は言う。
「僕がフランスで騎手デビューをして2年目にインドに滞在した事がありました」
フランスの調教師に「インドでジョッキーを探している馬主がいる」と言われたのがきっかけだった。いずれ世界に通用するトップジョッキーになりたいと考えていた若き日のルメール騎手は、デビュー年にもアメリカやドバイでの騎乗経験があり、この話を聞いた時に、思った。
「今は何でも経験しておいた方が良い。せっかくの話だから行ってみよう」
こうして胸を躍らせてインド入りしたルメール騎手だが、最初は驚かされたという。
「用意してくれていた宿泊先が部屋中に虫がいて、とても眠れる環境ではありませんでした」
インドでの最初の仕事が“宿の変更”になった時は先が思いやられたそうだ。しかし、いざ競馬が始まると、そんな不安がすぐに吹き飛んだ。
「初騎乗初勝利を挙げると、その後、2日間で9鞍に乗り7勝出来た時もありました。インドのローカルGⅠも勝たせてもらいました」
今回の騎乗依頼は、その時、ルメール騎手が現地でお世話になった先輩ジョッキー(当時、現調教師)から舞い込んだモノだと言う。ルメール騎手は言う。
「旧友との再会と、久しぶりのインドの騎乗で今はワクワクしています。好結果を残せるように頑張ります!!」
(撮影・文=平松さとし)
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