2024.12.13
香港国際競走を終えて
現地時間8日、香港のシャティン競馬場で香港国際レースが行われた。今年も対象となったのはいずれもGⅠの4レース。1200メートルの香港スプリント、1600メートルの香港マイル、2000メートルの香港カップに2400メートルの香港ヴァーズだ。
毎年、日本からも多くの馬が参戦し、実際に結果を残している一大イベントで、今年も栗東から5頭、美浦から4頭の計9頭の日本馬が海を越えた。
しかし、結果は皆さんご存知の通り。今年挑んだ9頭はいずれも金メダルを得る事は出来なかった。
国際レースの開幕戦となる香港ヴァーズではステレンボッシュ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)がJRAプールだけでなく、香港でも1番人気に支持された。後方から進むと4コーナーでは大外をマクッて追い上げ、直線1度は先頭に立つ形。しかし残念ながら最後は力尽き、3着に終わった。
続く香港スプリントは香港勢にとってお家芸といえるカテゴリー。今年も地元のカーインライジングが圧倒的1番人気に応えて押し切る競馬。サトノレーヴ(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)が善戦してみせたものの3着が精一杯だった。
また、香港マイルではソウルラッシュ(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)が豪快に追い上げたものの2着まで。香港カップもリバティアイランド(牝4歳、栗東・中内田充正厩舎)とタスティエーラ(牡4歳、美浦・堀宣行厩舎)が2、3着に善戦したが、地元の雄ロマンチックウォリアーの牙城を崩すには至らなかった。
さて、この結果を受けて現地でも残念がる日本人ファンや関係者の姿が散見された。当然だろう。しかし、競馬はそもそもが勝つ事の難しいスポーツであり、ホームアンドアウェイという観点で見ればどれよりもその影響を大きく受ける競技とも言える。また、環境の変化や長時間の輸送が馬の心身両面に与えるダメージも少なくなく、事実今回はアメリカから参戦予定で現地入りしていたノーボールズが熱発。感染症の疑いがあると診断され、1頭だけ時間も場所も隔離されて別メニューで調整された上、最終的には出走許可がおりなかった。
海の向こうで出走に漕ぎ着けるのは、当たり前のようで実は当たり前ではない。今回の香港の結果を受けて、今年は海外のGⅠを制す日本調教馬は皆無に終わったが「虎穴に入らずんば虎子を得ず」である。この結果に消沈する事なく、来年もまた海を越える勇者がたくさん出てくる事を願いたい。
(撮影・文=平松さとし)
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