2024.11.21
日本人騎手、世界中で騎乗
11月17日、京都競馬場で行われたマイルチャンピオンシップ(GⅠ)を制したのはソウルラッシュ(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)。手綱を取ったのは団野大成騎手(24歳、栗東・斉藤崇史厩舎)。これが2023年にファストフォースで制した高松宮記念(GⅠ)に次ぐ、自身2度目のGⅠ制覇となった。
そんな団野騎手と、直前までバーレーンで一緒に過ごした。マイルチャンピオンシップから遡る事1週間。エリザベス女王杯(GⅠ)が終わった直後、伊丹空港から羽田空港までの飛行機を一緒に飛んだのが始まりだった。その後、羽田からカタールを経由してバーレーン入りした団野騎手は、ヤマニンサンパ(牡6歳、栗東・斉藤崇史厩舎)と共にバーレーン国際トロフィー(GⅡ)に挑戦。結果は残念ながら6着に敗れた。
このレースは現地時間15日金曜日の午後7時35分に発走。レースが終わるとすぐに勝負服からスーツへと着替えた同騎手は、午後10時、バーレーン国際空港を発ち、再びカタールを経由して関西国際空港へ。マイルチャンピオンシップ前日の16日の夕方に帰国して、調整ルーム入り。それから24時間と経たぬうち、自身2度目のGⅠ制覇を成し遂げたわけだ。
思えば今月、現地時間1、2日にアメリカで行われたブリーダーズCには複数のレースに18頭もの日本馬が出走。これに伴い多くの日本人騎手もかの地に入った。そして武豊騎手や川田将雅騎手、横山武史騎手らがレース終了後、すぐに帰国。4日に佐賀競馬場で行われたJBCに参戦した。結果、武豊騎手がJBCスプリントで騎乗したチカッパこそ2着に惜敗したが、川田騎手のウィルソンテソーロはJBCクラシックを勝ち、横山武騎手騎乗のアンモシエラもJBCレディズクラシックを勝利した。
また、菅原明良騎手もすぐにアメリカを発つと、そのままオーストラリア入り。現地時間5日に行われたメルボルンC(GⅠ)でワープスピード(牡5歳、美浦・高木登厩舎)に騎乗し、2着に善戦してみせた。
JRAでの海外馬券発売に伴い外国からの日本馬の招待に拍車がかかった。ひと昔前には無かった輸送費や補助費を捻出してくれる主催者も増えた。これはジョッキーに対しても同様で、野平祐二騎手(故人)や岡部幸雄騎手(引退)武豊騎手らが自腹を切って渡航、滞在しても未勝利戦1つ乗るのに苦労していた時代とは違い、ビッグレースでの騎乗が確約された状態で、更に渡航費や滞在費等も心配する事なく遠征出来るケースが増えた。時代の流れといえばそれまでだが、これは現在のジョッキー達には環境として圧倒的に恵まれているといえる。世界は確実に狭くなり、ハードルは間違いなく下がったのだ。
今回の各ジョッキーの好騎乗が海外での成果が即出たというほど単純なものではないのは百も承知だが、今後を考えた際、様々な国で乗れる経験は必ずしや活きて来るだろう。それらを糧に、世界を股に掛けた活躍をする日本人ジョッキーが沢山出てくる事を期待したい。
(撮影・文=平松さとし)
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