2024.10.30
レッドディザイアの海外遠征
今週の現地時間金曜、土曜と、アメリカではブリーダーズカップデーが開催される。
2010年、ブリーダーズカップフィリー&メアターフ(GⅠ)に出走したのがレッドディザイア(栗東・松永幹夫厩舎)だ。結果はシェアードアカウントの4着に敗れたが、その差は僅か1馬身半。惜敗と言って良い内容だった。
この時のレッドディザイアは早目にアメリカ入りすると、前哨戦としてフラワーボウル招待S(GⅠ)に挑戦。ここを勝ち馬から1馬身も放されない3着。その後、本番に臨んでいたのだが、陣営が早期の現地入りを決断したのは、同馬が春先にも海の向こうで過ごした経験の持ち主だったから。海外遠征に関しては慣れた馬だったのだ。
その春先の遠征は中東・ドバイ。アルマクトゥームチャレンジRⅢ(当時GⅡ、現アルマクトゥームチャレンジ)に挑むとこれを優勝。同レースはドバイワールドカップ(GⅠ)の前哨戦であり、当時は両レースともオールウェザーの馬場で行われていた。
前年に秋華賞(GⅠ)を勝ち、ジャパンC(GⅠ)でもウォッカの3着に善戦したレッドディザイアだが、実戦でオールウェザーを走ったのはこのアルマクトゥームチャレンジRⅢが当然、初めて。しかし、ここを快勝した事で、続く1戦でも同じ馬場のドバイワールドカップに挑んだ。
同じトラックで行った最終追い切りでは半マイル50秒台の時計をマーク。その時、騎乗していたのは現在、調教師となっている齊藤崇史調教厩務員(当時)。時計を見て「そんなに強く追っていないし、むしろほとんど持ったままなんですけどねぇ……」
結果は11着に敗れたが、オールウェザー馬場への適性は、前哨戦やこの調教を見ても明らかで、ナイスチャレンジだったと言えよう。
このレース後、管理する松永幹夫調教師は「勝てなかったけど、海外に挑戦したからこそ得られた経験が沢山あります。この経験を次に活かすためにもまた海外のレースへ挑みたいです」と語った。そして、それがブリーダーズカップにつながったのは疑いようがないだろう。
さて、先述した通りレッドディザイアのアメリカ遠征は残念ながら勝利で飾れなかった。しかし、この翌年にはヴィクトワールピサ(栗東・角居勝彦厩舎)が日本馬としては初めてドバイワールドカップを制す。この時もやはりオールウェザー馬場での開催であり、前年のレッドディザイアの実績がこの挑戦にも少なからず好影響を及ぼしたのは間違いないだろう。
(撮影・文=平松さとし)