2024.10.16
キタサンブラックの菊花賞
今週末、京都競馬場では菊花賞(GⅠ)が行われる。3歳クラシック競走、最後の1冠となる3000メートルの長丁場。数々の名勝負が演じられ、幾多の名馬を生んできたこのレースを、2015年に制したのがキタサンブラック(栗東・清水久詞厩舎)だった。
歌手の北島三郎さんがオーナーである事でも知られる同馬は17年、ラストランの有馬記念(GⅠ)で有終の美を飾る等、現役時代は当時のJRA、GⅠ最多勝利タイ記録となる7勝を挙げた。そのほとんどがレジェンド・武豊騎手とのタッグでマークしたもので、キタサンブラックといえば武豊騎手のイメージが強いと思われるが、初のGⅠ制覇となった菊花賞で手綱を取っていたのは北村宏司騎手だった。
「オーナーや厩舎関係者のお陰で1年ぶりに勝たせていただきました」
前年の天皇賞・秋(GⅠ)をスピルバーグで制して以来のGⅠ勝ちに、北村宏騎手はそう言った。
「私にとって初めてのGⅠ勝ちでとても嬉しい」と口を開いた清水調教師は、次のように続けた。
「歴史ある北島オーナーにとっても初めてのGⅠ勝ちという事ですが、それが私で良かったのかな?という気持ちです」
北島オーナーはその言葉通り「歴史あるオーナー」だった。後日行われた初GⅠ制覇記念パーティーの席で、オーナーはこう挨拶をした。
「昭和38年に馬主になって以来53年目で、やっとGⅠを勝つ事が出来ました」
半世紀以上を経ての初GⅠ制覇は、正に信じられない思いだったのか、北島オーナーはこうも言っていた。
「レースのビデオは何度も見直しました。その度、ゴール前はかわされちゃうんじゃないか?という気持ちになりました。勝ったのは分かっているのに毎度ハラハラするんです」
その後、北村宏司騎手が怪我をした事から鞍上は武豊騎手に替わる。そしてご存じのように春秋の天皇賞(GⅠ)3勝やジャパンC(GⅠ)等、6つのGⅠ勝ちを加える。ちなみに菊花賞の際、武豊騎手が騎乗していたのは東京サラブレッドクラブのレッドソロモンだった。
(撮影・文=平松さとし)
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