2024.09.26
スプリンターズSを連覇したレッドファルクス
今週末、中山競馬場ではスプリンターズS(GⅠ)が行われる。
この短距離王決定戦を2016、17年に連覇したのが東京ホースレーシングのレッドファルクスだ。
最初に勝った16年、次走として陣営が選んだのが海の向こう。香港の沙田競馬場で行われる香港スプリント(GⅠ)だった。同馬を管理していたのは美浦・尾関知人調教師。当時、次のように語っていた。
「以前は実績のある左回りを中心に使っていたのですが、スプリンターズSを勝てた事で、右回りの香港にも挑む事にしました。(騎乗している)ミルコ(デムーロ騎手)に聞いても、最近の調教を見ても現在はとくに右回りがダメという感じはありませんからね……」
現地入りした後は、次のように語った。
「香港でのルールやシステム的な面に関しては、昨年も来た事が今回、活きています」
尾関調教師はこの前年の15年、管理馬のサクラゴスペルで同じ香港スプリントに挑戦していた。
「香港では、時間等が急きょ変更される事も多々あるのですが、前年にそれを経験していたから慌てずに対応出来ました」
人間が慌てないから馬にも良い影響があったのか「日本にいる時と何ら変わらない感じで、順調そのもの」だったそうだ。
しかし、レースでは、世界最速の香港スプリントの壁が立ちはだかる。ゲートで長く待たされたレッドファルクスはやや立ち遅れる。するとその白い馬体は最後まで先行勢との差を詰められず、残念ながら13頭立てのブービー12着に沈んでしまった。
「(スタートで)待たされたのが痛かったですね。決して実力の差だとは思わないので、もう1度、日本で立て直します」
指揮官のその言葉に間違いがない事を証明する唯一でいて最大の手は帰国後のレッドファルクスが再び好走する事だった。結果、翌17年の同馬は高松宮記念(GⅠ)と安田記念(GⅠ)が3着、京王杯スプリングC(GⅡ)は1着。そして、スプリンターズSでは見事に連覇を決め、香港での敗戦が決して力通りの着順だったわけではない事を示したのだった。
(撮影・文=平松さとし)