2024.09.19

ナカヤマナイト、フランス遠征

今週末、中山競馬場ではオールカマー(GⅡ)が行われる。2012年にこのレースを制したのがナカヤマナイト(美浦・二ノ宮敬宇厩舎)だった。
 ナカヤマフェスタが凱旋門賞(GⅠ)に挑戦し、2着に健闘したのを覚えておられる方はいるだろう。しかし、このナカヤマナイトも実はヨーロッパ最大の2400メートル戦を目指してフランス入りした事を覚えている人はどのくらいいるだろうか……。
 ナカヤマフェスタが凱旋門賞で2着したのは10年の話。優勝したワークフォースとは僅かアタマ差で、最も凱旋門賞制覇に近付いた日本馬になったわけだが、同馬は翌11年もフランスに遠征した。この年は前年のようにはいかず11着に大敗するのだが、その大きな理由の1つに、気性面でどんどん難しくなっていった事があげられた。
 フランス入りした後も調教場に入るのを拒否したり、乗り手を振り落としたりで、なかなかまともな調教を課せられなかったのだ。
 そんな難しい馬に連日付き合わされたのがナカヤマナイトだった。この時点でのこの馬の主な勝ち鞍は同年の共同通信杯(GⅢ)くらい。GⅠ勝ちもなく、つまりは帯同馬という位置付けではあったが、それでも一緒に凱旋門賞を目指すべく、前哨戦のニエル賞(GⅡ)に挑戦した。しかし、結果6頭立てのシンガリ6着に敗れた。ここで陣営は方向転換を決断。大一番は諦めて、前日に行われるドラール賞(GⅡ)に出走したのだ。
 しかし、結果はここでも勝負にならず11頭立てのブービー10着に敗れると、当時、二ノ宮調教師(引退)は言っていた。
 「フェスタに付き合うだけでも大変だったと思います。ナイトがいなければフェスタは、凱旋門賞は勿論、前哨戦にすら使えたかどうか分からない。そんな感じでしたから、ナイトには感謝しています」
 その後、帰国したナカヤマナイトは初戦のディセンバーSを快勝する。その際「海外遠征でモマれた経験が少なからず活きたと思います」と指揮官は口にしたのだった。そして、更に1年後のオールカマーを制する事になるのだが、果たして今年はどんなドラマが待っているだろう。楽しみにしたい。
(撮影・文=平松さとし)

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