2024.08.15
ソダシと札幌記念
今週末、札幌競馬場ではメインレースとして札幌記念(GⅡ)が行われる。
3年前の2021年、このレースを制したのが真っ白な馬体のソダシ(牝、栗東・須貝尚介厩舎)だ。
この白毛馬は前年の20年7月、函館競馬場の2歳新馬戦でデビュー。見事にこれを快勝すると、阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)まで4連勝。更に21年初戦となった桜花賞(GⅠ)も優勝し、2つのGⅠ、4つの重賞を含む5戦5勝となった。
その後、オークス(GⅠ)で8着に敗れ、初めて黒星がついた。その次走として出走したのが札幌記念だった。
ここで負ければ桜花賞までの連勝劇にもケチがつけられてしまいそうな状況だったが、ソダシは快勝してみせた。2着が直後にブリーダーズCフィリー&メアターフ(GⅠ)と香港カップ(GⅠ)を連勝するラヴズオンリーユーで、3着はこれもまたGⅠホースのペルシアンナイト。これら古豪を相手に、3歳牝馬という身で快勝してみせたのだ。
結局、ソダシは翌22年にもヴィクトリアマイル(GⅠ)で3つ目のGⅠ勝ちをマークする。重賞に関しては6勝。そして、これが全て芝のレースだったわけだが、実はデビュー当初は「芝でやれるのか?」という声がそこかしこで囁かれていた。
というのも、この白毛の血統は、母のブチコ(現役時代の4勝全てがダート)、そしてそのブチコの姉であるユキチャン(08年関東オークス、10年TCK女王盃など)やマーブルケーキ(全3勝がダート)らが皆、ダート路線で活躍していたからだ。
そんな血統のソダシであるが、重賞戦線以前のデビュー戦から芝のレースを使われていた。これに関しては、管理した須貝調教師が、当時、次のように語っていた。
「当然、そういう血統なのは分かっていました。ただ、血統に左右されたくなかったので、芝で調教をしたところ、良い動きを見せてくれたんです」
「これなら!!」と思い、オーナーの金子真人さん(名義は金子真人ホールディングス)に相談したところ、承諾を得られたそうだ。
先入観にとらわれなかったこの采配が、大ファインプレーとなり、後に桜花賞やこの札幌記念を勝つ事につながった。
「母はゲート難のある馬だったので、その点に関しては時間をかけて慎重にやりました」
そう語るように、須貝調教師は血統を無視していたわけではない。ただ、とらわれもしなかった事が、1頭の白毛の名牝を世に出す結果へとつながったのだ。
果たして今年の札幌記念ではどんなドラマが待っているだろう。楽しみにしたい。
(撮影・文=平松さとし)
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