2024.07.18

重賞初制覇の佐々木大輔騎手

7月13日、函館競馬場で行われた函館2歳Sを制したのはサトノカルナバル(牡2歳、美浦・堀宣行厩舎)。手綱を取り栄冠に導いたのは佐々木大輔騎手(20歳、美浦・菊川正達厩舎)だった。
 横山和生騎手、武史騎手兄弟や永島まなみ騎手他、血縁者の関係で小さい頃から知っているジョッキーは数多くいるが、佐々木大輔騎手もその1人。お父様の佐々木幸二調教助手は現在、堀宣行厩舎で働いており、それ以前は二ノ宮敬宇調教師(引退)の下で汗を流していた。
 二ノ宮元調教師といえばエルコンドルパサーやナカヤマフェスタによる凱旋門賞(GⅠ)2着(前者は1999年、後者は2010年)が有名だが、当時それらの馬と共にフランスへ渡っていたのが佐々木幸二調教助手だった。彼が敏腕調教助手として、評価されていた事が、これだけでも分かるだろう。
ちなみにエルコンドルパサーが遠征した際には馬と共に約半年現地にいたため、同じ二ノ宮で働いていた女性が現地まで応援に駆けつけた。それが後の奥様であり、佐々木大輔騎手のお母様となる人だった。
 2003年11月に生を受けると、小学4年生の頃から乗馬を始めた。二ノ宮厩舎に所属していた馬が引退した際、佐々木幸二調教助手がそれを譲り受けた。そして、その馬を乗馬クラブに預け、後にジョッキーとなる大輔少年が毎週幾度も乗っていた。余談だが、当時、私もその乗馬クラブで乗っていたため、何度か大輔少年と顔を合わせていたのだ。
 閑話休題。こうして22年のジョッキーデビュー。1年目こそ9勝に終わったが2年目の昨年は68勝と一気に成績を伸ばす。中でも夏の函館開催では18勝をあげて開催リーディングに輝く活躍で飛躍してみせた。
 そして、冒頭で記したように今年の函館では自身の重賞初制覇をマーク。笑みを見せた。
 さて、そんな将来有望な佐々木騎手だが、父が凱旋門賞で挑んだように、海外へ行きたい気持ちがあるのか?を問うと、首肯した後、答えた。
 「はい。いずれチャンスがあれば行きたいです。ただ、ヨーロッパよりもどちらかというとアメリカ競馬に挑戦したいです」
 「フランスで父の雪辱を……」と考えているかと思いきや、意外とドライにそう答えた。いや、冷静に考えると意外ではないかもしれない。思えば、父の幸二調教助手もかなりドライな性格だったのである。

(撮影・文=平松さとし)

※無料コンテンツにつきクラブには拘らない記事となっております。