2022.06.17

世代最強決定戦

見ているだけでも楽しい!最高の盛り上がりを見せるロイヤルアスコットですが、数々の名勝負、幾多の名馬降臨など歴史の新しい1ページを綴りながら、いよいよ後半戦に突入します。今夜はクラシックを賑わした3歳馬たちが主役となって、ヨーロッパ最強を競う世代頂上戦が番組の骨格を構成しています。ヨーロッパの競馬は、ご承知のようにイギリス・アイルランド・フランスの三国を頂点にドイツ・イタリアなどが続き、牡馬中心の2000ギニー、牝馬の1000ギニーでシーズンをスタートさせ、各国のチャンピオンがロイヤルアスコットに集結して、初日のセントジェームズパレスS、4日目のコロネーションSで牡牝それぞれの世代最強馬を争います。その覇者は、イギリスであれば真夏のサセックスSで古馬との対決を経てヨーロッパ最強馬が誕生する流れです。“出世双六”みたいなことですね。

理想はそうした流れでしょうが、各馬のコンディションとかローテーションとか、陣営の思惑による使い分けとか、なかなか思うよういかないのが現実です。しかし今年のコロネーションSは、ほぼ理想に近いメンバーが顔を揃えました。これもプラチナムジュビリー(即位70周年)を迎えられるエリザベス女王の人徳でしょうか。女王のためにと努力を惜しまなかったホースマンのポジティブな姿勢も大きな力になったと思います。

残念なことに愛1000ギニーを圧倒的なパーフォーマンスで5馬身ちぎったホームレスソングの姿こそ見えませんが、それを割り引いても十分に人を呼べる顔ぶれです。英1000ギニーをケレン味のないスピードで逃げ切ったカシェ、仏1000ギニーはNBAスタープレーヤーだったトニー・パーカーさんの愛馬マングスティーヌ、それに加えて春先は仕上げに苦労した2歳時の実績馬が戦列復帰します。

インスパイラルは2歳時に4戦4勝の負け知らずでG1・フィリーズマイルも楽勝しています。当時から1000ギニーは無論、オークスまで無双するのではと囁かれたポテンシャルの持ち主です。久々のぶっつけは大きなハンデになりそうですが、今のところブックメーカー各社は抜けた1番人気に推しています。この馬の2着にいつも付き合っていたプロスペラスヴォヤージュも他馬となら差はないでしょうね。同じ理由でディスカヴァリーズにも注目でしょうか。“出世双六”のサイコロはどんな目になるのか?今夜も興味津々ですね。