2022.06.16

女王陛下のロイヤルアスコット

プリンスオブウェールズSのシャフリヤールは残念でした。何が彼の中で起きていたのか?詳細は分かりませんが、見た目にはタフな馬場に疲れて力負けした印象です。新規蒔き直しですね。日本馬全体、ディープインパクトの血すべてにヨーロッパ適性が乏しいと烙印が押されたわけではありません。シャンティイの不良馬場でG1・イスパーン賞を大差で逃げ切ったエイシンヒカリ、タフさではアスコットと双璧のエプソムのオークスを16馬身ぶっちぎりの圧勝劇を演じたスノーフォールのようなディープインパクト産駒もいます。ヨーロッパの高くて分厚い壁を乗り越えるために何が必要なのか?血統的な配合なのか?育成環境なのか?調教技術なのか?検証すべき課題は山ほどありそうです。謙虚に初心に立ち戻って、改めて再出発ですね。

さてロイヤルアスコットの今夜、日本調教馬ではありませんがディープインパクト産駒が出走します。第2レースに距離2400mのハンデキャップ戦キングジョージ5世Sが組まれていますが、そこにニューファンドランドが登場します。前出スノーフォールの全弟という血統で、姉と同じ名門エイダン・オブライエン厩舎でキャリアを積んできました。今季に入ってのデビューでしたが、既走馬を相手に叩かれつつ距離を延ばしながら未勝利を脱出しています。使われてポテンシャルを発揮するのは姉同様でしょうから、相手が格段に強くなるロイヤルアスコットの桧舞台でも差のない競馬をしてくれるはずです。日本で生まれ育った血統が、異国の地でどう進化していくのか?逐一をとことん観察させてもらいましょう。

話題は変わりますが、エリザベス女王のプラチナムジュビリー(即位70周年)を祝賀する今回、女王ご自身も所有馬を積極的にアスコット競馬場に送り込んでいます。初日のG1・キングズスタンドSには愛馬クイーンズリンが出走し、馬券人気以上の頑張りを見せて7着に食い下がる健闘が見事でした。順調なら中3日で最終日のG1・プラチナムジュビリーSに登場してきます。女王のために命名されたメインレースで女王の愛馬が走る姿を見られるのは、もうウマ娘ワールドですね。世界中を興奮と感動で包んでくれそうです。

開催を通じて9頭がスタンバイしており、今夜は3頭を出走させる予定です。中でも期待が膨らむのは、G3・ハンプトンコートSのリーチフォーザムーンという馬です。このシーザスターズ産駒は、2歳時から高い素質を見せた麒麟児として評判になり、ダービー候補の一角としてメディアにもしばしば登場したほどの馬です。今季は仕上がりが遅れて出走が延び延びになりましたが、ジョン・ゴスデン調教師の冷静かつ愛情あふれる調整で、ようやく晴れ舞台に間に合いました。女王に、何よりも嬉しいはずのロイヤルアスコット星を届けられるといいですね。