2022.03.29
ドバイが照らした夢の続き
ドバイの快進撃は、どのレース、どの馬も甲乙つけられない興奮と感動の花吹雪を舞わせてくれました。日本の競馬の先行きを明るく照らし出しウキウキする気分にしてくれました。ドバイゴールドCで不敗の上がり馬マノボの野心を打ち砕いたステイフーリッシュはロイヤルアスコットを視線の内に捉えているようです。200年以上の伝統を誇る長距離レースの頂上ゴールドC4000mが目標と矢作芳人調教師が眼を輝かせます。
ドバイターフでロードノースと同着の死闘を演じた僚馬パンサラッサは、因縁の決着の場をロイヤルアスコットのプリンスオブウェールズSに求めているようです。ステイにせよパンサにせよ、矢作先生にとっては怪物フランケルにグランプリボスで挑戦して以来のロイヤルアスコットですね。今度はエリザベス女王からじかにカップを手渡して貰えると嬉しいのですが。UAEダービーを完勝したクラウンプライドはケンタッキーダービーの出走権を晴れて獲得しました。サンデーサイレンス3X4というクロス配合の持ち主で、父リーチザクラウンがアメリカで一世を風靡した“ヒロイン”クリスエバートの血を継いでいることからも“里帰り”と言っても良いでしょう。チャーチルダウンズへ、どうぞ胸を張ってお出かけください。
数々の名ドラマ、その中から敢えて一頭一レースを選べと言われたら、極めて難しい選択になるのですが、ダービー馬シャフリヤールの劇的な復活に腕を振り上げ声を涸らして、心の底から快哉を叫んだファンも多かったのではないでしょうか。これで日本の競馬がもっと面白くなると素直に考える人がほとんどだったように思います。3歳にして天皇賞秋と有馬記念を連勝し、堂々の年度代表馬に輝いたエフフォーリアの強さに寸分の疑いも挟めませんが、彼が唯一涙を飲んだ日本ダービーのゴールで、わずかハナだけ差し切ったシャフリヤールの勇姿も忘れられません。メイダンのゴールの向こうに、“二強時代”の新たな幕開けが見えた気がします。
シャフリヤールの藤原英昭調教師は、「凱旋門賞・BCターフ・ジャパンC」の3つを早々と大目標に掲げました。いずれも2400mのチャンピオンディスタンスの桧舞台で世界最高峰のチャンピオンシップを競う王道中の王道です。一方、今週のG1大阪杯で今季を始動させるエフフォーリアは、天皇賞秋と有馬記念をそれぞれ連覇した祖父シンボリクリスエスの背中を追うように2年連続の年度代表馬を最終ゴールに定めているのでしょうか?この“二強”がターフに描くローテーションの放物線が、果たしてどこで交わるのか?それぞれのオーナーさん、藤原先生、鹿戸先生、熟慮に熟慮を重ねるのでしょうが、ファンの心臓は、もうレースが始まる前からワクワクドキドキ、ボルテージがバクバクと上がりっ放しでパンク寸前です。