2022.02.14
一発逆転!ハーツクライ
今年は年明けから目を見張らせる活躍を続けているのがハーツクライ。この日曜はダノンベルーガが、出世レースG3共同通信杯で完成度の高い競馬を披露して、“ダービーホース”候補の最右翼に躍り出ました。ダートG2東海Sのスワーヴアラミスに始まって、先週は東西でG3東京新聞杯のイルーシヴパンサー、G3きさらぎ賞のマテンロウレオとバトンを繋いで、これで重賞は4勝目と波に乗っています。リーディング順位もロードカナロア、ディープインパクトに続く3位の座にドッシリ腰を降ろし、悲願のリーディングサイアーへ向けての一発逆転を虎視眈々と睨んでいます。
ご承知のようにハーツクライは、種牡馬界の絶対王者ディープインパクトと同期デビューの上、西の横綱キングカメハメハも健在でランキング実績は2位が一度ありますが、残念無念にも良くて3位・悪いと4位が指定席とも言える“善戦マン”にとどまって来ました。並の種牡馬にはできない“仕事ぶり”と褒められるでしょうが、どこかヤルセナイ気持ちも付きまといます。しかし絶好調のビッグウェーブに乗った今季は、不運だったハーツにとって“最初で最後”のチャンス到来となるかもしれません。ダートも問題なく走る多様性を備えた産駒も多く、今年のクラシック世代が粒揃いなのもチャンスの力強い背景でしょう。ハーツ産駒は、ダノンベルーガ以外にも無敗の朝日杯王者ドウデュース、きさらぎ賞のマテンロウレオ、さらに2戦2勝で底を見せないセレシオン、成長力自慢のハーツらしさが好印象のグランシエロなど多士済々!我が東サラ軍団も現状はマイル路線に専念して良さを全開させるレッドベルアーム、ムラな一面はあっても折り合えば勝負強いルージュラテールなど父の悲願達成に貢献する孝行産駒が出番を待っています。
戦いは2歳新馬戦がスタートするダービー後に火蓋を切るでしょう。ご存じの通り絶対王者ディープは今年の2歳馬は登録ベースで6頭を数えるにすぎません。昨年から種牡馬引退しているハーツですが、明け2歳の登録数は130頭と平年を少し上回る陣容に達しています。少なくとも2歳戦に関しては“130対6”と圧倒的かつ絶対的なアドバンテージをホールドしているのは動かせない事実です。この130頭の中には、本来ならディープと交配する予定だった優良牝馬も少なからず混じっています。ハーツは無論のこと、ロードカナロアなど有力種牡馬の今年の2歳馬は、かなりレベルが上がっているはずです。ハイレベルな現3歳勢をしのぐような活躍を披露してくれる可能性も期待できそうです。
とは言え、ディープインパクトの種牡馬としての才能は飛び抜けていますから、やむを得ず“片肺飛行”を強いられても互角以上の見事な戦いぶりを見せてくれるはずです。永遠不滅の金字塔とされて来た偉大なサンデーサイレンスのJRA通算勝利数越えへのカウントダウンも始まっています。大仕事は必ずやり遂げるのがディープインパクトですから。さらにポスト・ディープの座を狙う他の有力種牡馬も黙ってはいません。ロードカナロアの今季も好調さではハーツにヒケを取りません。今まで以上に安定味を増して、守備範囲もさらに広がっているようです。安心できるアベレージヒッターとしての地位を固めて来ました。対照的に一発長打の魅力が捨て難いエピファネイアの存在も忘れられません。不幸にして若死したドゥラメンテですが、どこかでアッと言わせるような仕事をしそうなムードが漂っています。空前の戦国模様が広がって来ました。これらも今年の競馬の楽しみの一つでしょう。