2022.01.31
“HERO”の時代
安室奈美恵さんのコンセプトソングをバックに長澤まさみさん、見上愛さんが演じる今年のJRA年間プロモーションCM「HERO IS COMING」が流れ始めてから、お馬さんたちも相当に乗り気になっているのか?毎週のように楽しく興味深い話題が競馬場から届けられています。大人気の競馬育成ゲーム「ウマ娘」の影響もあったりするのでしょうね。馬券の当たり外れや勝ち負けも大切ですが、それも含めいろんな意味で競馬が注目され、人々の興味を広げたり湧き立たせるのは、とても健全な姿だと思います。
ユニークかつ奥深い馬名でファンを盛り上げたオニャンコポンが、中山のG3京成杯で“偉大な”父エイシンフラッシュを追うように、昨日は東京のセントポーリア賞でドゥラメンテ産駒のドゥラドーレスが出遅れをモノともせず強い競馬で、父子制覇を成し遂げたました。父はともに世代の頂点を極めたダービー馬であり、ドゥラドーレスに至っては父ドゥラメンテから祖父キングカメハメハへと遡るダービー三代制覇の夢が繋がっています。ご存じのようにシンボリルドルフ・トウカイテイオー父仔、タニノギムレット・ウオッカ父娘などが二代制覇を成し遂げていますが、三代制覇となると、その姿を歴史上にまだ見ることができない“スーパーHERO”となります。
競馬の母国イギリスでは、4年前に祖父ガリレオ・父ニューアプローチに続いてマサーが史上8組目のダービー三代制覇の金字塔を打ち立てています。およそ240年間余りで8組というのは多いのか少ないのか分かりませんが、
サラブレッド自身の寿命だったり、「ダービー馬はダービー馬から」という言い伝えに忠実に馬づくりが行われて来たお国柄を考えれば、血の継承に日本以上の情熱が傾けられていたのは想像ができます。ドゥラメンテは昨年、初年度産駒タイトルホルダーが皐月賞2着からダービー三代制覇の偉業に挑みましたが、武運つたなく敗れました。それでも秋には菊花賞を勝っていますから、名門一族の後継として胸を張れる非凡な才能の持ち主です。しかしその父ドゥラメンテも昨年、祖父キングカメハメハの後を追うように鬼籍に入りました。残された機会はわずかです。ドゥラドーレスの無事と武運を祈るばかりです。
土曜の東京でも新たな“HERO”が出現しました。昇級戦となるリステッド白富士Sをパーフェクトにまとめたジャックドールがその馬です。デビューから2000mに専門特化して使われ、レース前半では逃げて60秒を楽々と切るスピードを披露、後半はさらにペースアップする持続力を繰り出せます。ちなみに白富士Sは、前半59秒4-後半58秒0=1分57秒4の快時計で2着馬に1馬身半の着差以上に強い内容は、どこまで行っても衰えないとすら思える絶対スピードの極みでした。次走は中京のG2金鯱賞を予定しているようです。サイレンススズカがスピードの違いで大差にちぎった伝説の舞台、ジャックにこれほど似合うコースもないでしょう。“HEROの時代”を、心ゆくまで楽しみたいと思います。