2021.12.02

種牡馬多様化の時代?

先日もお伝えしたように、我が国のサラブレッド生産を牽引するリーダー種牡馬は、どうやらエピファネイアが務めることになりそうです。今年1000万円だった種付料が来季は1800万円と倍近くに引き上げられ、1500万円で据え置かれたロードカナロアを抜いて頂点に立ちました。クラシック年齢に達した2世代から、牝馬三冠を総ナメしたデアリングタクト、皐月賞と天皇賞(秋)をともに完勝したエフフォーリアと突き抜けた存在を送り出し、早くも王者の風格を醸し出しています。距離を問わず、ダート・芝の別なく苦もなくこなす器用さを持つライバルのキズナの安定したアベレージヒッターぶりには一歩譲りますが、大物輩出というスケール感では断然の存在と言わねばなりません。

その後の社台SS(スタリオンステーション)のリリースによれば、このエピファネイアを筆頭に9頭もの種付け申込状況が、既にブックフル(満口)に達しているそうです。9頭の顔ぶれは、父ディープインパクトの初年度種付料と同じ1200万円に設定されたコントレイルが光ります。ラストランとなったジャパンカップの乾坤一擲(けんこんいってき)の走りは、まさに“値千金”だったことになります。350万円から倍増の700万円に種付料を急騰させたドレフォン、これも300万円から500万円へと跳ね上げたキタサンブラックといったあたりも存在感を深めています。ダート血統では2年目を迎えた怪物ルヴァンスレーヴへの信頼は揺るがず、新種牡馬クリソベリルも先輩に負けない人気を集めています。

社台SS以外では、優駿SSに繋養されているシルバーステートが強烈なインパクトで 150万円から4倍増!大幅な増額は、ある程度予測されていましたが、日高を中心とした生産者たちの熱い思いがヒシヒシと伝わってきます。きょうご紹介したのは、ほんの一部に過ぎませんが、ディープインパクト&キングカメハメハ両巨頭が亡くなって、ディープロス、キンカメロスの喪失感は深いのですが、王座奪取に名乗りを挙げる後継馬たちの顔ぶれの多彩さには、少なからずワクワク感が湧き起こってきます。

外国産馬たちの奮闘も目立つこの頃です。先週もアメリカ育ちの怪物アロゲートの遺児同士の直接対決が競馬場を沸かせています。血統の多様化は、ますます進んでいくことになるのでしょう。男は黙ってサンデー馬券、ディープを買っていれば間違いはない、そうした時代も長く続きました。それを思えば馬券も難しくなるのでしょう。でも、それはそれで新しいワクワク、胸躍るドキドキ、そんな楽しみを運んで来てくれるのでしょうね。