2021.11.22

新種牡馬点検①

今週は錦秋を飾る大一番・ジャパンカップを迎えます。ジャパンCが盛り上がれば、師走のファイナル競馬も楽しみを何倍にも膨らましてくれます。そんな中で様々な分野で年間の仕事ぶりを競うリーディングの行方も気になる季節になりました。今年から競馬場に初めて産駒を送り込んで来たフレッシュサイアー(新種牡馬)分野では、現時点で飛び抜けた大物は見当たらないものの、なかなかに粒揃いで先々も楽しめる逸材が多いと評判です。

中でも現在までフレッシュサイアーランキングのトップを走っているドレフォンの安定したアベレージヒッターぶりが際立っています。通算20勝と大台に乗せたのも光りますが、ダート11勝に対して芝もジオグリフがひと捲りで4馬身突き放したG3札幌2歳Sの金星を含めて9勝と高い適性を発揮して“二刀流サイアー”への可能性を大きく膨らませています。社台グループは近年も2年連続リーディングサイアーに輝いたオーストラリアの大物スニッツェルを輸入するなどスプリンター血統の導入に前向きですが、スニッツェル帰国後はアメリカのスプリンターに目をつけて、BCスプリントの覇者ドレフォン、ドバイに遠征して1200mの電撃G1ゴールデンシャヒーンを連覇したマインドユアビスケッツなどを戦略的にラインナップに組み入れています。スピードを基本中の基本とするサラブレッド生産を強く意識してのチャレンジなのでしょうね。

ここまで9頭が勝ち上がり、通算13勝と順調に勝ち鞍を積み重ねているシルバーステートは、G3ファンタジーSまで無傷で3戦3勝と無傷で進撃を続けているウォーターナビレラが重賞でも通用する底力を証明して、日高の生産者を中心に人気が盛り上がっています。種付け料も今季は150万円と手頃感が魅力でしたが、来季は倍増の勢いで跳ね上がるんでしょうね。牝馬質は世界レベルの社台スタリオンステーション(SS)から声が掛かったりすると、夢のような“サイアー太閤記”が実現するかもしれません。

その社台SSで大切に繋養されているキタサンブラックも、少なからず社台系牝馬との配合に恵まれ、期待以上の結果を出している現状は立派です。キタサン自身のキャリアから、遅咲きの晩成タイプという見方も強かったのですが、フタを開けてみれば勝ち上がり率も標準以上なら、イクイノックスがG2に昇格した伝説的な出世レースの東スポ杯2歳Sで強い勝ち方を披露して、クラシックへの階段を一歩昇りました。キタサンブラックの個性は、イメージとしては2000mのスピードを3200mでも維持できる強靭な持久力にあったと思えるフシが感じられます。こうした資質が、たぶん凱旋門賞の舞台で花を開かせるのでしょう。楽しみな血統です。他にも地味ながら堅実に走っているイスラボニータも好印象ですし、サトノアラジンなんかも思った以上に頑張っています。今年のフレッシュサイアーの未来が明るく拓けるように願っています。