2021.11.18
カウントダウン百景
ディープインパクトが父サンデーサイレンスのJRA通算2749勝という不滅の記録へあと250勝と迫り、カウントダウンの進撃を開始した話題をお届けしましたが、世界のいろんな競馬場では様々な記録達成へのカウントダウンが高らかに響き渡っています。地方の名古屋競馬では、女性騎手の第一人者・宮下瞳さんが、昨日(16日)までに999勝に到達し、女性ジョッキーとしては前人未到の1000勝の高みにあと一歩としています。今日は重賞・東海菊花賞のマイネルバサラを含めて8鞍に騎乗予定。スッキリ一発で大台クリアを決めてくれるでしょう。
師走の歳時記「香港国際競走」まで1カ月を切ったシャティン競馬場でも、地元ファンを熱くさせるカウントダウン・ドラマの幕が切って落とされようとしています。コロナ禍が鎮静状況にある今回は、世界のヒロインの尊称を晴れて“襲名”したラヴズオンリーユーをはじめ強力な日の丸軍団や、ヨーロッパからの強豪勢も参戦する予定ですが、迎え撃つ香港勢の“総大将”ゴールデンシックスティが“夢の大記録”へのカウントダウンを、今週日曜の“国際競走トライアルデー”のG2・ジョッキークラブマイルでスタートさせます。
ゴールデンシックスティは香港三冠馬であり、現在までG1・4連勝を含めて14連勝中と無敵の快進撃を続けています。香港のホースマンやファンの間では、16年前に達成された名馬サイレントウィットネスの香港デビューから17連勝した“夢の記録”が伝説化され、広く崇(あが)められています。当時はまだ「パート2国」で格下と見られていた香港競馬の人気を大いに盛り上げ、成長度合いでは世界一、二と高い評価を受け、現在の「パート1国」昇格の原動力となった偉大な馬です。連勝記録が止まったのは、生粋のスプリンターである彼が距離を延ばしてチャンピオンズマイル、安田記念と日香のマイル最高峰レースに挑戦し、2着、3着と惜敗したからですが、安田記念の後は適距離に戻し中山のスプリンターズSを強敵デュランダル、アドマイヤマックスなどを相手に楽勝したのはさすがでした。
この伝説の名馬サイレントウィットネスにもあと3勝で並びます。正念場はジョッキークラブマイルの次走G1・香港マイルですね。ダノンキングリー、インディチャンプなどの実力馬両騎、ブリーダーズカップのデルマーから直行で乗り込むヴァンドギャルドなど日本勢も骨っぽいところが揃っています。最近では日本と香港で出走馬の奪い合いみたいな現象も起きています。JRAも脅威に感じているのでしょう。来年からジャパンCと有馬記念の1着賞金を3億円から4億円へとアップさせます。こうした高額賞金はもちろん、レースのレベルでも競い合いは厳しくなる一方ですが、昇龍ゴールデンシックスティが“第二のサイレントウィットネス”として香港競馬をさらに盛り上げていくのでしょうね。