2021.11.16

カウントダウンの始まり

先だっての日曜、阪神の黄菊賞をジャスティンパレスが卓抜なレースセンスを発揮して2番手から華麗に抜け出し、ディープインパクトJRA通算2449勝目の勝ち星を飾り、節目となる2500勝に王手をかけました。この先にそびえ立つのは、言うまでもなく偉大なる父サンデーサイレンスたった1頭だけです。その通算勝利数は2749勝!永遠の光を放ち続けると信じられた不滅の金字塔は、2010年1月5日の“競馬事始め”の日、G3中山金杯を中山名物の急坂から鋭く伸びてクビ+ハナ+ハナ+ハナの激戦を鮮やかに差し切ったアクシオンが最後の勝ちどきを挙げて打ち立てています。

奇しくも、この年6月26日に福島の新馬戦を逃げ切ったサイレントソニックがディープインパクトの記念すべき最初の勝利を飾っています。しかしこの時、大きな期待とともに鳴り物入りで産駒をデビューさせたディープインパクトを含めて、サンデーサイレンスの2749勝を超える馬が現れると想像したホースマンは誰一人としていませんでした。前人未到なのは無論、空前絶後の壮挙!それほど不滅の大記録と考えられていました。

2499勝は、サンデーサイレンスの堅城2749勝まで“残り300勝”へのカウントダウンの始まりになります。ディープインパクトは年間おおむね250勝くらいの勝ち鞍を蓄積してきました。300勝到達は、順調であれば1年と少しの期間で成し遂げられます。来年中は難しいかもしれませんが、再来年の春くらいには手が届くでしょうね。その歴史的な1勝が、桜花賞とかダービーとか、いかにもディープインパクトらしい華やかな舞台であれば、競馬好きには何ものにも替えられない最高の幸せです。

アクシオンの中山金杯はサンデーサイレンス311勝目の重賞レースとしても記憶されています。ディープインパクトは現在268勝、並ぶまでに後43勝ですが、これはこれで難易度がけっこう高そうです。ただしディープインパクトの場合、先日もラヴズオンリーユーがG1ブリーダーズCフィリー&メアターフを勝ったように、海外調教馬も含めての海外重賞勝利数はサンデーサイレンスすら比べものにならないほど圧倒的な実績を誇っています。この分も加味すれば、既にサンデーを超えていると言っても間違いではないでしょう。いずれにしろ、ここから毎週のように偉業達成へのカウントダウンが重ねられていきます。1レース1レース、心の襞(ひだ)に大事に刻み込んでいきたいと思います。