2021.11.10

次代の種牡馬王

ゴドルフィンのヨーロッパ拠点(イギリス・アイルランド・フランス)における来季の種付け料が発表されました。昨日もちょっと触れたのですが、不動の大エース種牡馬ドバウィは据え置きの25万ポンド≒3800万円余とされています。これを超える世界トップのフィーを誇っていたガリレオ&ディープインパクト亡き後は、ドバウィが名実ともに世界の頂上に君臨します。ただ、この名馬の場合もサドラーズウェルズ・ガリレオ系と同じように競馬先進国で唯一日本でだけ実績を残していません。その点が気掛かりと言えば気掛かりなのですが…。

ゴドルフィンは今季が過去最高とも思われる絶好調で、種牡馬たちの種付け料も多少とも“ご祝儀相場”気配が濃厚で、とりあえず据え置きされるケースが目立ちます。新戦力はパレスピアが目玉でしょうか?鋭い瞬発力を武器に世界のマイル戦線に大きな影響力を振るっているキングマンの後継馬です。現役時代はモハメド殿下の兄ハムダン殿下の勝負服で走り、マイル最高峰レースのジャックルマロワ賞連覇などG1を5勝した傑出したスピードを、種牡馬として確実に伝えてくれるでしょう。気性の勝った馬で、どの産駒もムラなく走るというタイプではないでしょうが、ときに抜きん出た大物を輩出する相貌を漂わせています。

父キングマンは、フランケルを世に出した名門ジュドモントファームのカリド・アブドゥッラー殿下の晩年の超傑作で、トリッキーなレース展開で2着に敗れた英2000ギニー以外は無傷の7戦7勝を記録した無敵の名マイラーです。種牡馬として立派なのは、産駒たちが世界中どこであれ場所を選ばず良く走ることでしょう。イギリス調教馬パレスピアを代表格に、フランス調教馬ペルシアンキングは仏2000ギニー、ムーランドロンシャン賞で“マイル鬼血統”を証明していますが、仏ダービー2着、凱旋門賞3着と幅広い個性を花開かせました。アメリカ調教馬ドメスティックスペンディングはG1を3連勝中で先日のブリーダーズカップは無念にも直前で取り消しましたが、立て直されればアメリカン芝ランナーの第一人者に復活します。そして日本調教馬シュネルマイスターも負けず劣らずの好素質馬。マイルチャンピオンシップで天下取りを目指しますが、強豪揃いの先輩連にも気後れなく堂々の戦いを挑んでくれるはずです。

キングマンの種付け料はそれまでの7.5万ポンドから倍増の15万ポンドへと跳ね上がりましたが、タタソールズなどセリ市での産駒の人気は高く、今年のバレンタインデーには凱旋門賞連覇のエネイブルと交配するなど良血牝馬が“門前市を成す”勢いです。それらの若駒が走り始めると、スタッドの偉大な先輩フランケルの20万ポンド、世界一のドバウィの25万ポンドに追いつけ追い越せ!世界の頂上に立つのも夢ではありません。