2021.09.28

100回目の扉が開く

第100回目となる凱旋門賞は、明日29日に追加登録が締め切られ、出馬投票が行われます。21世紀の始まりとなる2001年のガリレオ以来となる英ダービー馬にしてキングジョージを連勝したアダイヤー(ちなみに彼は父フランケルを経てガリレオの血を引く孫世代の1頭です)、前走ヴェルメイユ賞こそ展開不利に泣いて2着に敗れたものの底知れないポテンシャルを秘めるディープインパクト産駒スノーフォールの最有力馬2頭が12万ユーロ≒1560万円と破格に高額な追加登録料を支払いエントリー、既登録馬と合わせて最終的に16頭が出走へスタンバイを完了させる見通しとなっています。

10月第1日曜日のパリロンシャンに向けて、今年もコロナ禍をおして様々な前哨戦が行われ、多様なヒーロー&ヒロインを生んできました。そうした数々の名勝負の中でも、もう半年も前4月下旬のお話になりますが、イギリス・サンダウン競馬場で行われたG3クラシックトライアルSが、個人的には妙に印象に残っています。ほとんど全馬が初体験の2000mの距離で10頭立てで行われたレースでしたが、“初モノ”には秘めたポテンシャルが反映されやすいと言われますが、このレースで上位を占めたサラブレッドたちは後に世代を代表する錚々(そうそう)たるメンバーが名を連ねました。

勝ったアレンケルは、父アドラーフルークと底力自慢のドイツ色の濃い血統で、後に「アスコットダービー」の二つ名で親しまれる出世レース・G2キングエドワード7世Sを勝ち、凱旋門賞にエントリーするまでに階段を登り詰めて来ました。半馬身差の2着が現段階で1番人気に支持され凱旋門賞のゴールに一番近づいているアダイヤー、 3着イビルはアダイヤーやハリケーンレーンに続く“ゴドルフィン第三の矢”イビルでした。彼は秋になってセントレジャートライアルのG2グレートヴォルティジュールS、未格付けながらアメリカ芝三冠の最終戦で賞金100万ドルのミリオンレース・ジョッキークラブダービーを連勝して来た上がり馬ですが、残念にも出走権のない騸馬です。来年の大きな飛躍を期待したいものです。4着ローンイーグルは愛ダービーでハリケーンレーンの2着に健闘した馬ですね。いずれにしろ、これだけのメンバーが顔を揃えた名レースがG3だった、というあたりに本場の真骨頂を見る思いです。

ブックメーカーの前売り人気は、ゴドルフィンのアダイヤーとハリケーンレーンのフランケルコンビ、クールモアのディープインパクト産駒スノーフォールの3歳馬に割り込むように、アガ・カーン殿下所有でクリストフ・スミヨン騎乗のロンシャンが似合うレジェンド二人にエスコートされたタルナワが互角の存在感を示しています。中ではゴドルフィン勢56.5キロ、タルナワ58キロに対して、最恵量55キロのスノーフォールに展開不運に泣いた前走の分も含めて、勝利の女神さまからの“微笑み返し”がないものでしょうか?
そんなこんなも含めて、今週は凱旋門賞の話題にスポットを当てていきます。どうぞ、お楽しみに。