2021.09.22

ゴドルフィンがクールモアを逆転!

いま世界各地の競馬場では、ロイヤルブルーの勝負服を躍動させてゴドルフィンが絶好調です。保有馬のレベルの高さを証明するG1勝利数で、宿敵クールモアを遂に抜き去り、ひょっとしたら今年は独走態勢のままゴールしてしまいそうな勢いが漲(みなぎ)っています。傾向としてはゴドルフィン最大の祝祭ドバイワールドカップデーが開催され、シーズンピークの南半球オーストラリア勢の加勢も後押しする春先には、おおむねゴドルフィンが大きく先行し、それをクールモアが追い上げ抜き去るというのが例年のパターンでした。

ところが今年は、ドバイワールドCをアメリカ調教馬のミスティックガイドで制覇したのは計画通りでしたが、それで終わらずヨーロッパ戦線でもロイヤルブルーの華麗な舞が止まりません。アダイヤーが名馬フランケルに英ダービー初戴冠の栄光を捧げ、キングジョージも連勝して世代No.1の座を不動のものにします。英ダービーこそ同父の僚馬に譲ったハリケーンレーンでしたが、愛ダービー、パリ大賞、英セントレジャーと三国変則三冠をもぎ取り、アダイヤーととともにフランケルのリーディングサイアー奪取へ猛プッシュしました。アメリカのクラシック世代も素晴らしい躍進ぶり!エッセンシャルクォリティがベルモントSとトラヴァーズSを楽勝して、最後の大一番BCクラシックの最短距離に立っています。詳しくは後述しますが、このBCシリーズの優先出走権を次々とゲットしているのも、G1勝利数のゴドルフィン独走の強みとして働くのかも?

決め手は先週末のカナダ遠征にあったのかもしれません。コロナ禍のご時世で帯同ジョッキーに苦労させられるのが悩みの種ですが、チャーリー・アップルビー調教師は主戦ウィリアム・ビュイック、サブのジェームズ・ドイルをヨーロッパに残し、“天下無双の仕事人”ランフランコ・デットーリを伴って大西洋を渡ります。この週末はカナダ版チャンピオンズデーと言って良く、G1オンパレードの豪華絢爛な番組編成が組まれています。最初のG1ウッドバインマイルはBCマイルの前哨戦としても有名ですが、今年は何と日本人ジョッキー福元大輔騎手がタウンクルーズという馬で鮮やかに逃げ切りG1初勝利の金星を挙げるとともにBCマイルの出走権を手中に収めています。異国の地でここまでやり遂げた福元騎手の未来が、同じくカナダで頑張る木村和士騎手ともども、さらに輝かしいことを祈るばかりです。

話はゴドルフィンに戻ります。G1カナディアンインターナショナルSはアップルビー厩舎のウォルトンストリートがデットーリの手綱に応えてG1初勝利。翌日はフレッシュな2歳G1が組まれましたが、牝馬のナタルマSでフランケル産駒ワイルドビューティーが直線一気に突き抜けると、牡馬のサマーSはドバウィ産駒アルバーが出遅れながら大外一捲りで突き抜けました。アップルビー&デットーリのコンビは、ノーザンダンサーの故郷でG1を 3勝の快挙!BCデーの優先出走権まで手にしました。さて、その前の週のアイルランドではアイリッシュチャンピオンズデーが行われ、2歳G1ナショナルSで海外をデットーリに委ねた残留組のウィリアム・ビュイックがネイティヴトレイルを駆って、圧倒的人気に支持されたクールモアの使者ポイントロンズデールを3馬身半差に沈め、無傷の3連勝を飾りました。ゴドルフィンが掌中にしたG1勝利数はカナダの分を加えて17勝。クールモアの16勝を遂に追い抜きました。日本のロイヤルブルー軍団は、G1から久しく遠のいていますが、この勢いを味方に一旗上げることができるでしょうか?