2021.09.08

“猫の目”ランキング

賞金の高い重賞レースはポツリポツリ程度の今の時期は、ライバルに抜きん出るのは物理的に簡単ではなく、種牡馬ランキングも上がったり下がったりの変動が激しいのですが、今年は毎週のようにランキング上位勢の順位が入れ替わる“猫の目”模様が極端なようです。新馬戦がスタートした当初は、シルバーステートとドレフォンの新種牡馬コンビが好ダッシュを決め注目が集まったかと思えば、最初の重賞であるG3函館2歳Sをナムラリコリスが凱歌を上げて、その父ジョーカプチーノがランキングトップに躍進します。このマンハッタンカフェ後継馬は、地味ながら“いぶし銀”の渋い輝きを持ち味に、函館の“一発駆け”に終わらず少ない産駒が頑張りを見せて、現在も2歳ランキングのベストテンに入ったり出たりのあたりで健闘を続けています。

思えば、サンデーサイレンスが没し、やがて種牡馬王の座から陥落して、ディープインパクトがリーディング戦線の主役として浮上するまでにアグネスタキオン、マンハッタンカフェ、キングカメハメハなどが王座に君臨した時代が続きました。過渡期には“乱世”がつきものなのかもしれません。

そうした混沌気配の中で先週はドゥラメンテがトップを奪首、その血統表に日本競馬史をソックリ詰め込んだような歴史的良血が覚醒かとファンを喜ばせました。が、その数日には訃報が伝えられ、悲喜こもごもの1週間となって何とも複雑な思いに駆られました。天才ランナーの早過ぎる死は残念ですが、それでも5世代の遺児たちを遺してくれました。その中から父を超えるような傑物が出現してくれるのを祈りたいと思います。

シルバーステートも馬産地を中心に評価をグングン上げています。もともと“日高の星”を期待されたほどの逸材です。今年のダービーは父ディープインパクト、藤原英昭調教師、福永祐一騎手の黄金トリオが創り上げたシャフリヤールが勝利の美酒を呑み干しましたが、まったく同じトリオが取り組んだシルバーステートも“幻のダービー馬”と故障がちだった現役時を惜しまれた逸材でした。生産者の評判も上々で、優駿スタリオンステーションにスタッドインした時は80万円だった種付け料は、産駒誕生前の2年目から100万円、120万円、150万円と小刻みながら上昇を続け、初年度産駒が競馬場で実績を積んだ来年は大ブレークするのではないでしょうか。ディープ後継候補として社台グループから熱烈なオファーを浴びる日も近いのかも?

さて“群雄割拠”する過渡期の乱世に、また新たなヒーローがその名を記しました。先日のG3札幌2歳Sを圧勝したジオグリフを送り出したドレフォンがその馬です。この続きはあす詳しくお届けしましょう。