2021.09.02

内国産4代目の夢へ発進!

仕上がり早いスピードランナーの独壇場というイメージが強かったG3小倉2歳Sですが、近年は桜花賞馬レーヌミノルや平地と障害の両カテゴリーで重賞制覇の快挙を成し遂げた“二刀流”アサクサゲンキなどを出して、レース価値に重みを増して来ました。今年の人気はショウナンマッハに集まるのでしょうか?持ち時計が上位であり、直前の追い切りも坂路で鞍上が抑えたのにもかかわらずラスト11秒7と出色の時計をマークしています。楽しみな馬が出てきたものです。

1968年から日本で種牡馬生活をスタートさせたテスコボーイに遡る血筋の持ち主です。偉大なテスコボーイは、初年度産駒から皐月賞馬ランドプリンスを出し、その後も最初の大物キタノカチドキ、快速少女テスコガビー、天馬トウショウボーイなど日本競馬史にメモリアルな蹄跡を刻んだ名馬群を次々と世に送ります。JRAの尽力で輸入され、JBBA静内に繋養されたテスコボーイは、その目覚ましい活躍の割には種付料は格安に設定され、日高の中小生産者にとって“お助けボーイ”と絶対的な信頼を寄せられたようです。中でも代表馬トウショウボーイは“宿命のライバル”テンポイントとの度重なる激闘で多くの人々に奥深い競馬の魅力を伝え、三冠馬ミスターシービーを生んでテスコボーイ系をさらに発展させます。しかしサイアーラインを繋いでいくのは、想像を超える難事業です。メジロアサマに始まり、メジロティターンからメジロマックイーンへと天皇賞3代連続制覇の金字塔を打ち立てた“メジロ血脈”も 3代で途絶えています。

テスコボーイ系で内国産3代が今に伝わるのはサクラユタカオー、サクラバクシンオー、ショウナンカンプと繋がるラインだけです。ショウナンカンプも昨年不幸にして亡くなっており、残された遺児たちは多くありません。ショウナンマッハはこの貴重な血脈の4代目になります。曽祖母に女傑ヒシアマゾンがいる牝系で、母父ダイワメジャーもテスコボーイ系の軽快さに粘り強さを付け加えてくれそうです。実は今年、ショウナンカンプ産駒のミキノドラマーという馬が種牡馬登録され、ダイヤモンドファームに繋養されているようですが、プライベート種牡馬でもあり状況がよく伝わって来ません。ショウナンマッハには、もう少し恵まれた環境でスタッドインしてくれたらと祈る気持ちです。父ショウナンカンプは国本哲秀オーナーの熱心な力添えで種牡馬生活を実りあるものにできました。マッハに対しても愛情を惜しむことなくサポートしてくれるでしょうから、その点は恵まれていると安心できそうです。

4代目継承という大きな夢を実現するためには、まず競走馬として傑出した実績を残したいですね。茶木太樹調教師は今年から開業した新進気鋭。調教師は愛馬をレースに勝たせるのは無論、その血を未来に繋ぐことも重要な使命です。その意味では、開業いきなりから願ってもないチャンスに巡り合えたと言えそう。重賞は初出走であり、未経験のキャリアになりますが、ぜひ大きなチャンスを掴み取ってほしいものです。