2021.08.26

3歳世代の勢いは世界規模

熟練の境地を極める古馬と、伸び盛りの 3歳馬が激突する混合戦たけなわのこの頃、競馬好きにはどの世代が強いのか?その比較、検討が気になって仕方がない季節です。ヨーロッパでは、古馬混合G1戦の口火を切る7月上旬のエクリプスSを、 3歳馬セントマークスバシリカが強い勝ち方をすると、前半の頂上戦キングジョージ6世&クイーンエリザベスSも今年のダービー馬アダイヤーが制し、 ディープインパクトのスノーフォールもヨークシャーオークスを楽々と抜け出して、3歳勢優位の評判がもっぱら。マイル路線でも牝馬限定の英ファルマスSがスノーランタン、仏ロートシルト賞はマザーアース、米ビヴァリーディSをサンタバーバラ、そして牡馬も交えた頂上戦サセックスSもアルコールフリーと 3歳牝馬の独壇場でした。

この新風は、海を越えて日本のターフにも吹き渡りそうな気配が漂っています。わが国では、ダービーが終わった翌週のG1・安田記念で3歳馬と古馬が初めて手合わせするのですが、今年はダノンキングリー、グランアレグリアと誰もが認めるトップクラスを向こうに回して、若きシュネルマイスターが僅差の 3着に奮闘したのが 3歳馬進撃の狼煙でした。月が替わると、狼煙は各地に次々と飛び火!小倉のG3・CBC賞では日本レコードの2着にピクシーナイトが、そして遂に新潟のG3・アイビスサマーダッシュで直千王ライオンボスをオールアットワンスが撃破。更に舞台を再び小倉に戻してG3・北九州記念は、九州産のアイドル・ヨカヨカが史上初の熊本産馬による重賞制覇を達成します。ここまでは短距離レースで斤量に恵まれた牝馬たちの“激走劇”が続いたのですが、先週のG2・札幌記念には大きなサプライズが待っていました。

白毛の人気者ソダシが、ラヴズオンリーユー、ペルシアンナイトといった押しも押しされぬG1ホースを相手に、グーの音も出ない“完封劇”を威風堂々と演じて見せたのです。1年前のG3・札幌2歳Sで後のオークス馬ユーバーレーベンをレコードで抑え込んでいるように、洋芝はことのほか得意な馬ですが、それにしても相手関係を考えれば“絶賛もの”でしょう。これまで父クロフネ産駒が、重賞レースで越えることのできなかった距離2000mの壁を遂にクリア。今後が楽しみでなりません。

ヨーロッパから最初のうねりが始まり、はるばる日本まで到達した世代間争いをめぐる大きな新潮流は、当分は勢いを変えそうにもなく思われます。これほど 3歳勢が白星を量産する年というのも、ちょっと記憶にありません。今週の札幌G3・キーンランドCにも、更に楽しみが膨らむ3歳馬たちがエントリーしています。ご承知のように、メイケイエールは重賞3勝の実績が物語るように、気性はともかく能力の高さ自体は飛び抜けています。レイハリアも前走の葵Sで負かしたヨカヨカ、オールアットワンスが既に重賞戴冠しているとなるとウカウカしてはいられません。地方馬ソロユニットは芝砂二刀流アジアエクスプレスの血ですから、揉まれずうまく流れに乗れば大駆けがあっても驚けません。