2021.08.05

熱く清々しい新種目

日本中がオリンピックに沸き、盛り上がっています。中でも熱く、そして清々しくも感じられるのが、今回から新たにラインナップされたスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンなどの新種目群です。日本人には馴染みのある空手が今回初というのも意外でしたが、どの種目も初めて見聞きする人々も少なくない中で、想像を超える興奮と感動で存分に楽しませてくれました。新種目ではなくても、ちょっとマイナー視されていた女子ボクシングとか総合馬術といったジャンルで思わぬ活躍を見せてもらえたのは新鮮で心洗われる思いでした。

“競馬好き”にとっては、JRAに所属する戸本一真さんの総合馬術4位入賞は嬉しいニュースでした。1932年のロサンゼルスオリンピックの西竹一(バロン西)さんの金メダル以来、89年ぶりの快挙だそうです。馬術というと、幼少時から馬に慣れ親しんだ王族などセレブファミリー、組織として馬産・育成・訓練に取り組む西さんのような生粋の軍人でもなければ、人に抜きん出た技術を習得するのは困難だと思い込んでいました。それがメダルまであと一歩まで詰め寄ったのですから立派です。戸本さんと愛馬ヴィンシー号の頑張りに拍手を送りたい気持ちで一杯です。

戸本さんたちもそうでしたが、新種目でメダルラッシュを実現してくれた若者たちには、オリンピックの舞台だからと気負いすぎることなく、ありがちな悲壮感も感じさせず、ピーンと張り詰めた緊張感の中にも、この大舞台を心から楽しんでいる喜びが溢れ出していました。言葉が適当かどうか分かりませんが、競技種目にとっては最高のプロモーションになったのではないでしょうか。どの種目もファンは増えると思いますし、プレーヤー志願者も殺到することになりそうです。馬術の場合、プレーヤー増大には施設とか負担費用の面でハードルは相当に高そうですが、馬術ファンは間違いなく増えるでしょうし、ジャンルの垣根を超えて競馬への関心や理解が深まるでしょう。

柔道の混合団体競技で、個人で金メダル9個の日本が金1個のフランスに敗れた理由として、フランスの競技人口50万人に対して日本のそれは16万人と裾野の広さで大きな差をつけられていることを指摘する方々も少なくありません。混合団体という幅広い総合力が問われる分野になると、この差が底力として現れてくるといいます。競馬にとっても考えさせられる課題だと思わされました。